放射線室
放射線診療への従事
診療放射線技師(RT)とは、1951年診療エックス線技師法が制定・施行されたことに始まります。
その後、名称変更を経て1984年診療放射線技師法として現在に至っています。この診療放射線技師法では医師・歯科医師の指示のもとに人体に放射線を照射することのできる医療職種です。同法によってわが国では、医師・歯科医師・診療放射線技師以外の職種は人体に放射線を照射することはできません(業務独占資格)。
現在、医療における放射線検査は様々な分野に細分化され欠かすことの出来ない領域となっています。当院の診療放射線技師はこの細分化された領域の一つ一つに専門性を高め、様々な臨床要求に対応しています。また専門性の追求だけではなく総合的な検査の質の向上として、全員で保有する装置や検査への習熟を行っています。現在は山梨県で初めての医療被ばく低減施設としての認定を受けており、画像精度の追求とともに医療被ばく低減にも努め安全で安心な放射線診療を提供しています。
当院における診療放射線技師の歴史と業務
当院での診療放射線技師の歴史は、1972年5月27日に5名の技師により放射線部会を確立、一般撮影と消化管透視撮影装置の設備で出発しました。現在では、放射線治療装置を除く放射線検査装置を扱い、被ばく低減認定施設として13名の診療放射線技師で365日24時間の検査の当直体制を取り、業務にあたっています。
放射線室の特徴・理念
細分化された領域の一つ一つに専門性を高めるとともに、総合的な検査の質の向上として、全員で保有する装置や検査への習熟を行います。また医療被ばく低減施設として画像精度の追求とともに医療被ばく低減にも努め安全で安心な放射線診療を提供します。
診療放射線技師の業務
1. 一般撮影 (ポータブル・マンモグラフィー・骨密度検査・手術室含む)
1-1 一般撮影
一般撮影業務では胸部・腹部撮影、そして骨や耳鼻科・婦人科領域全般のエックス線撮影を行っています。撮影に用いる装置もFPD化し、より迅速で最適化された画像提供に努めています。ポータブル撮影では放射線室まで写真を撮りにくることのできない方に対して、病室や救急室等で撮影を行っています。
手術室においては整形外科の透視下による術式にチームの一員とし参加しています。
1-2 マンモグラフィー
乳房専用のX線装置を用いて乳房を圧迫し、乳房内の組織の差を写し出すことで、触診ではわからない小さい腫瘤や、微細石灰化などの病変を写し出すことが出来ます。また、装置の更新により3Dマンモグラフィ検査が可能になりました。
3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)は、圧迫された乳房を短時間でX線管球だけが移動しながら複数回撮影することで薄い断層画像(3D)を作成でき、通常のマンモグラフィでは乳腺と重なってわかりにくい病変を写し出すことが可能です。
2. X線TV(骨密度測定)
X線TV装置を用いて上部消化管や下部消化管等の透視検査を行っています。外科分野では手術後の消化管透視検査、リハビリ領域では嚥下造影検査と幅広い領域にて検査を行っています。また、装置更新に伴い腰椎および大腿骨近位部をスキャンすることで簡単にDXA 法による精密骨密度測定が可能となりました。人間ドックや整形外科領域にて需要の多い検査です。
3. X線CT装置
1台のX線CT装置(64列マルチスライスCT装置)にて検査を行っています。基本的に、X線CT検査は身体の輪切りの写真を撮影していますが、3D化が進んだ近年では収集したデータから輪切りの写真だけではなく様々な方向からの画像表示も行っています。また、撮影の高速化や装置の高性能化により可能となった心臓の撮影も行っています。検査の種類によっては造影剤を使用します。
4. IVR
心臓や下肢などの血管を診断・治療する心臓カテーテル検査では、循環器内科医師を中心に看護師、臨床工学技士など他職種とのチーム医療で安全・安心の医療を提供しています。
IVRは放射線診療の中でも被ばく線量の最も多い領域となっており、診療放射線技師は専門的立場でスタッフや患者さまの被ばく管理を行っています。一方で、診断・治療時には手技の助手として参加しています。
また、消化器領域では腹部血管造影やTACEを主とし、近年注目されているRFA治療、デンバーシャントなども行っています。
5. MRI
MRI検査では放射線を使わずに、磁力と電波の作用で画像得る検査です。当院では静磁場強度1.5T(テスラ)装置1台を使用しており、頭部から脊椎・頚部・胸部・腹部・骨盤部・四肢領域と様々な分野の検査を行っています。近年では注目の心臓検査(負荷なし心筋検査)も施行しています。
6. 被ばく管理(県内初の医療被ばく低減施設)
個人被ばく管理と防護器具等の管理・線量計管理を行っています。
7. 院内委員会活動
◆ 購入委員会 ◆ 医療安全委員会 ◆ 感染対策委員会 ◆ 診療情報委員会 ◆ 医師研修委員会
◆ クリニカルパス委員会 ◆ セフティマネージャー委員会 ◆ 技術部門委員会
◆ 民医連活動各委員会(社会保障、反核平和、友の会)
8. 職場内活動
◆ 初期研修計画評価担当 ◆ プロテクタ管理担当 ◆ 個人被曝ばく管理担当
9. 院内の役割
◆ 個人被ばく管理 ◆ プロテクタ管理 ◆ 共立高等看護学院講師 ◆ 甲府健康友の会班会講師
10. 院外活動
◆ 一般社団法人 山梨県診療放射線技師会 理事・運営委員 ◆ 日本放射線公衆安全学会 会長
◆ 公益社団法人 日本診療放射線技師会 医療被ばく低減施設チーフサーベイヤー・サーベイヤー
◆ 山梨県核医学研究会 監事 ◆ 山梨県反核医師・医学者の会 事務局
◆ 各学会・研究会へ積極的参加
11. 資格
◆公益社団法人 日本診療放射線技師会 放射線管理士 4名
◆公益社団法人 日本診療放射線技師会 放射線機器管理士 2名
◆公益社団法人 日本診療放射線技師会 医用画像情報制度管理師
◆特定非営利活動法人 日本乳がん検診制度管理中央機構 健診マンモグラフィー認定診療放射線技師
◆特定非営利活動法人 日本X線CT専門技師認定機構 X線CT認定技師
◆公益社団法人 日本診療放射線技師会 Ai認定診療放射線技師