漢方外来
受付時間
午前 |
月曜日: 9:00~11:00(診療開始 9:00) |
---|---|
休診 |
第1・第4土曜日・日曜日・祝日 |
お知らせ
一覧を見るお知らせ
外来対応表
漢方外来の特徴
漢方外来では、漢方を利用して患者さまそれぞれに適した治療を、保険治療として行っています。年齢や性別を問わず「自覚症状はあるのに、検査をしても異常がない」、「倦怠感やどことなく具合が悪いが、何科へ受診してよいかわからない」「慢性的な症状で困っている」「診断がついているがすっきり治らない」とお悩みの症状も一度ご相談ください。
治療は、原則投薬を行います。現在鍼灸治療は行っておりません。
2022年4月現在では、感染対策上感冒症状のある場合の診察は難しいですが、風邪には漢方治療が効果的であることは、実感ばかりでなく研究でも示されています。
総合診療所で多くの科を擁し、甲府共立病院がバックグラウンドに控えている強みを活かし、必要に応じて様々な検査を実施し、特に専門的な診断や検査が必要と思われる場合は各専門科へおつなぎします。
同じ病名であっても症状は患者様によって異なります。
同じ症状であっても原因は様々です。
漢方外来で多く診察している『症状』は頭痛、めまい、倦怠感、動悸、冷え症、吐き気、イライラ、不眠、便秘、下痢、おなかの張り、のぼせ、湿疹、腰痛、花粉症、PMS、月経困難症、更年期障害、体のどこかの違和感、感覚異常、産後やワクチン接種後および疾病罹患後の体調不良など多岐にわたります。
「いつも疲れていて、仕事のない日は家でぐったり寝込んでいるが、特に落ち込みもないし、これといって病気というわけでもない、年のせいかなかな?」という方も聞いてみると子育て中のお母さんを中心にたくさんいらっしゃいます。このような症状でも漢方治療で改善するケースもありますので、遠慮せずご来院ください。
漢方治療について
お気軽にご来院ください
当院では漢方エキス剤を中心として保険診療で漢方治療を行っております。診察代、検査費用を除いた一か月のお薬代は1000~3000円程です。(漢方薬のみの場合。なお、必要に応じて漢方薬を組み合わせるため費用は前後します。)
鍼灸治療、食事療法(薬膳)なども漢方治療に含まれますが現在のところ当院では行っておりません。
治療の流れ
- 受付
- 初診の方は2F内科受付にてお渡しする初診問診票にご記載いただきます。
- 待合
- あらかじめ備え付けの血圧計で血圧を計測してお待ち下さい。
- 診察
- お困りの症状をご確認し、脈やおなかの漢方的な診察をいたします。漢方特有の診察方法です。必要に応じて通常の内科同様に検査を行う場合があります。
- 治療
- 診察をふまえお薬を決定し、処方箋を発行します。漢方薬は種類が多いので、取り扱いがなく取り寄せに時間がかかる調剤薬局も多いためご注意ください。症状によっては漢方に専門性の高い調剤薬局をご紹介するケースがあります。
- 次回予約
- 症状により2~5週間ごとに次の診察をいたします。診察時に予約できるようご都合の確認をお願いします。
※ 事前に記載していただくとスムーズです
治療に適さない方
以下の場合は治療を行えない場合がありますのでご注意ください。
- 漢方薬が飲めない方、通院が困難な方
- 他院で現在漢方治療中の場合
- 現在治療中の疾患に効果的な標準治療が確立しているにも関わらず、その治療を完全にやめることが目的の場合
- 投薬ではなくカウンセリングをご希望している場合
- 副作用が治療効果を上回る場合
漢方いろは
どんな病気なら見てもらえますか?どれくらい通院が必要ですか?
お困りの症状であれば、特にジャンルは問いません。
病名が付かない症状でも結構です。
最近ではコロナ感染症後のどこに受診すればよいかはっきりしないような症状にも多く漢方治療が用いられています。
西洋医学の病名ではなく、症状として病気の成り立ちを考えて何が起こっているか判断して治療に当たるため、同じ病気であっても違う漢方薬が出ることもあります。治療期間は病気の治りやすさ、状態によって変わるため一概には言えませんが、例えば頭痛外来へ通院していた方の慢性的な頭痛が1.2回の通院で明らかな効果が見られることもあります。一方で徐々に病状が変化しているものの、ご本人が満足いくような治療効果が出るまで1年以上かかった方もいらっしゃいます。
西洋医学的にも重症である場合やご高齢の場合などは治療効果が上がらないこともあります。
漢方って古くさい治療なんでしょ?
専門的に勉強している医師が少なく、むしろ患者様よりも、医療関係者の方がそのように感じていることが多いように思います。漢方治療はその整体観こそ古くから培われてきたものですが、温故知新の言葉どおり、現代においてその運用の進歩は目覚ましく、最近ではCOVID-19感染症やその後遺症の治療へも応用されています。
漢方治療は長い歴史の中で主に東アジア圏の重要な医学として様々な知見を積み重ねてきました。日本では江戸期後期に西洋医学の見識をも取り入れた漢方医がさらに漢方治療を発展させ治療技術はピークを迎えましたが、明治維新後の法改正とともに西洋医学を学んだ者でなければ医師免許を取得できないようになったため一時廃れます。ところが西洋医学を学んだ医師の中から再び漢方治療の有用性を見出すものが現れ、明治末期には再び漢方復興の趨勢が芽生えたのでした。
とはいえ、明治期から現代にいたるまで150年あまり、医学部での教育基盤はいわゆる西洋医学です。身体をどのような仕組みとして考えるかという『整体観』からして漢方とは大きく異なるため、漢方を正しく運用するためには医学部で学ぶ西洋医学以外にさらに新しい学問を学ぶつもりで漢方を勉強する必要があります。そのため漢方は過半数の医師が処方していると言われながらも、漢方の体系に則って治療をできる医師はきわめて少ないのが現状です。
西洋医学もこの150年の間に著しい進歩を遂げました。現代薬理学が生薬の働きを徐々に明らかにしていますが、確実な効果があるのにまだわかっていないことも数多くあります。西洋医学と東洋医学、漢方の統合はいまだ為されていませんが、同じ人間をみつめる科学としていつかオーバーラップしていくでしょう。そのような意味では漢方は西洋医学が追いつかない最先端にあるのかもしれません。
またお薬の飲みづらさについては、煎じ薬や丸薬がエキス剤やカプセルになった以上の目覚ましい進歩はありません。それが良い、という方もいますが、味と匂いさえなければ漢方治療を受けたいという方もいらっしゃる中で、「お薬の形状」に関してわたくしども臨床医ができることは、飲み方の工夫と、励ます以外になく、薬事法改正と製薬メーカーの企業努力に期待するところです。
漢方の診察って何がわかるの?
四診(ししん)「望・聞・問・切(ぼう、ぶん、もん、せつ)」と呼ばれる4つの診察方法があります。患者さんの全身や局所の状態を目で見て把握すること、患者さんの声や咳のようすなどを聴覚などで把握すること、症状を詳細に聞いて分析すること、そして、最大の特徴である、脈診、腹診を患者さんの体に触れて行うことから成り立ちます。
脈からはその人に適した治療がどんな方法で、どこに病があるのか、今日の体調はどんなであるか、などを他の情報と合わせて読み取っています。これは外科医が手術ができるよう訓練するのと同じく、修練のたまもので、誰にでもすぐにできるものではありません。ところで、じっくり脈診をしていると「不整脈がありますか?」と心配されることがありますが、明らかな不整脈がある場合は、ご説明し、念のため心電図検査の上、循環器内科の先生に御診察いただいておりますのでご安心ください。
腹診も同様にトレーニングにより習得し、お体の状態を判断して薬を選ぶ一助となるものです。漢方治療を行う中国ではあまり発展せず、日本独特のものと言われております。症状によっては腹診が必要ない場合もありますが、必要に応じて腹診を行うことで、より早く漢方診断がつき、正しく効果的な薬を選ぶ事ができます。
漢方の先生ってお話を聞いてくれるんですよね?
四診のところでご説明したように、漢方医は問診も診断のよりどころとしています。そのため、通常の内科医師の診察と比べると患者さんからお話を聞くことが多く、一般的に「漢方の先生は話を聞いてくれる」と思われていることが多いようです。漢方治療の場合、特に初診のときや、治療の方針に悩んだとき、患者さんが口にした一言が正しい薬を選ぶヒントになることもあるため、根掘り葉掘り伺うこともありますが、あくまでも診断の一環です。時間の制約上、おひとりにかけられる時間は限られてしまいます。医療者と様々な問題を共有して解決したいとお考えの患者様は、当院の医師以外の専門職も交えて治療に当たらせていただくよう、配慮いたしますのでお申し出ください。
患者様へお願い
当院は山梨大学医学部生の関連教育施設となっております。大学および関連施設における漢方外来は当院のみであり、貴重な学習の場であるため、学生又は研修医が見学することがありますのでご了承ください。
学生、研修医の見学をお断りされたい場合は受付にてお申し出ください。そのことにより診療上の不利益は発生いたしません。
スタッフ紹介
鶴田 統子(つるた のりこ)
医長
■ 富山医科薬科大学 2004年卒
■ 所属学会
- 日本産科婦人科学会(専門医・指導医)
- 日本東洋医学会(専門医・指導医(2024年取得見込み))
- 日本女性心身医学会
- 産婦人科漢方研究会
- 日本疼痛漢方研究会
- 日本東洋心身医学研究会
■ その他
- 母体保護法指定医
- 山梨大学医学部薬理学教室非常勤講師
- 山梨大学サイエンス漢方研究会 世話人